当然ありました。入って5ヶ月目くらいの話です。このときが1番きつかったですね…最初の3ヶ月はほぼインプットで、順調でした。その後はオフィス内全体で最大効率となるよう動くことが期待され、教える側になることもありました。自分で考え行動する場面がどんどん増えていったわけです。
このとき辛かったのは仕事の負荷ではなく、失敗が怖くて臆病になった結果,失敗を繰り返したことでした。自分で何かやってみようと思っても、指示を受けてないからやめておこう…と引っ込んでしまっていました。「正解」を聞くことが最良だと思うようになっていたのです。しかし、自分の中で、最初にプレゼンしたようにやってみたいことはあったし、社員さんも時間をとって教えてくれていたので、自分の中で責任感や使命感のようなものと、辛い感情が天秤のようにせめぎあっていました。
そういうときは、息抜きが必要ですよね。あのときは、鎌倉を散歩することにしました。先に結論を言ってしまえば、それで悩みが消えたわけではなかったですが、一旦悩んでいる自分を棚上げして、「悩んでいる自分」を多少客観視できたのは事実です。
そして、「自分が何をしなければならないのか」という点を感情という靄を払って整理することができ、感情に押しつぶされた思考放棄状態から脱却したので、「辛い」という感情は理屈で説明できないから一旦置いておくか、という判断もできるようになりました。
その後、ときに叱られながら、少しずつ行動と結果が伴うレベルに改善していきました。具体的に変えた行動は小さなことですが、4つです。
➀社員を苗字呼びから名前呼びにした
呼び方ひとつで何が変わるのかと思う人もいるのでしょうが、私にとっては重要でした。私は基本的に「苗字+さん」と人を呼ぶことが多いです。それは自分が相手に感じる距離感を象徴するものでもありました。だから、あえて呼び方を名前に変えることで「この人はもっと親しく、もっと気軽に質問して大丈夫」と自分に安心を与え続けようとしたわけです。
②ネガティブな言葉を実際に口に出すのをやめた
私は、辛いときに「平気、へっちゃら!」と自分を鼓舞できるような精神を持ち合わせてはいません。だからといって、しんどい、辛い…と言葉にしても、状況が好転したり、気持ちが切り替わるわけではありません。だから「心で思うのは仕方がない、でも言葉に出すのは無駄だからやめよう」と決意しました。すると、「(しんどいなぁ)…よし….次。」と凹みつつも、なんとか次のことを考えることが出来るようになっていったのです。
③些細なことでも「なぜ?」と自問することにした
自分が辛いと感じる理由を自分でよく考えて、それでも答えが出なかったからこそ私は、自分の根拠のないネガティブ思考が無駄を生む場合がある、と指摘した上司の言葉に納得できました。それを契機に自問自答が自分の気持ちの整理や行動の整理にとても役立つことを、実感を伴って理解したのです。これはあらゆる場面で役立つだろうと思い、習慣化しようとこの行動を設定しました。自問に対して自答できない場合は、問自体が破綻しているか、あるいは今の自分に出せる答えではないため人を頼るべき場面と判断することにしました。
④自分の中で理論立てて「間違ってはいない」と思えたことは、自分で実行してみる
失敗に怯える私は、些細なことであっても、言質が取れないと安心できませんでした。それは、受けた指示をただ実行していただけだからです。それではダメだと思い、「間違えるのは嫌だから、人の指示に従う」のではなく、「間違えるのは嫌だから、不正解を考えて避ける」という方法に変えました。その結果が間違っていたとしても、自分がどうしてその道を選んだのかを説明できれば怒られることはなく、むしろどこで道を間違えたのかフィードバックが返ってくるので、生産性も高まりました。
以上のような工夫を続けたことが、メンバーからの信頼と自信につながっています。今は、その地道な積み重ねを、より凝縮した形で後輩に提供することが私の仕事の一環です。インターン歴は新卒より長いのに、肩書は学生という特殊な立場を利用し、後輩のメンター的な役割も担っています。